2010年8月30日月曜日

問題12

年金型生命保険の保険金に対して,現状では相続税と所得税の二重課税になっているとして遺族が訴えた裁判において,平成22年7月6日に「所得課税は違法」とする最高裁判所の初の判断が下されました。それにより同様のケースにおいて,他の人々も払いすぎた税金を取り戻すことができることになりました。またこのような最高裁判所の判決とその論理構成は,判例として今後の裁判所の判断に大きな影響を与えることになるでしょう。

このような裁判では,自らが原告となり訴訟費用を負担しなくても,誰か他人が訴えを起こしてくれれば,その判決にただ乗りできることになります。よって社会的には提訴することが望ましい事案であっても提訴されない可能性があるのではないでしょうか。

この問題を解消・軽減するためにはどのような施策が必要であるかについて,その施策にどのような弊害があるのかにも言及する形で提案してください。

1 件のコメント:

  1. 以下の通り回答を考えてみました。いかがでしょうか?
    自ら訴訟を起こし、その訴訟費用を負担しなくても、他の誰かが訴訟を起こし、その結果にただ乗り(フリーライド)できるのであれば、訴訟を起こすインセンティブが働かず、社会的にも望ましい事案であっても提訴されないことが懸念される。
     解決策としては、訴訟費用を全額国庫負担とする案も考えられるが、訴訟が乱発する可能性も考えられる。そこで、フリーライドが発生するのは、訴訟に勝つことが前提であるため、訴訟に勝った事案についてのみ、国が全額訴訟費用を返還し、その他のただ乗りの人と同じ状況を実現してあげる案が考えられる。そのことで、提訴者は、自らも勝訴へのインセンティブが働くし、負ければ自分で費用負担しないといけないので、訴訟の乱発も防げる。ただし、すべての勝訴の事案について、返還するのではなく、個人的ではなく、社会的影響が多い事案についてのみ対象とするなど一定の仕分けの必要がある。

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