2010年9月7日火曜日

問題18

ある政党Aから下に引用したような政策提言があったとします。そしてあなたはA党ではなく政党Bで政策分析の仕事に就いているとしましょう。ここでB党の議員より,「このA党の見解の間違っているところを国民に説明するための資料を作成して欲しい」旨の依頼がありました。

この見解に反論するためにはどのような調査や統計データが必要になるかについて言及した上で,国民にどのように間違いを説明すれば良いのか述べなさい。

A党の政策提言:「2006年に道路交通法が改正されたことで,駐車違反の取り締まりが大幅に強化された。禁止区域に少し路上駐車をしただけで,すぐに違反として取り締まられてしまうので,自動車で出かける頻度が少なくなった人が多いはずである。 
自動車の走行距離が少なくなれば,当然買い換えの時期に至るまでの期間も長くなるために自動車メーカーの売り上げが落ちてしまう。それに応じて生産量も減らされることになり,結果として自動車工場で人手が余ってしまうことにつながる。これは最近問題になっている派遣労働者の派遣切りの原因の一部であるといえないだろうか。 
そこで労働者の解雇を防ぐために,駐車違反の取締りを撤廃するべきだ。自動車をどこにでも駐車できるようになれば,自動車への需要が増えて,自動車産業が発展し,結果として景気回復に役立つのである。」

2 件のコメント:

  1. 改正前後のデーターを比較することで、法改正により、国民の費用と便益が変化し、行動の変化を招くインセンティブが働いたかを検証することが可能となる。データーは、①自動車メーカーの売上高の変化とその原因、②派遣労働者の派遣切りの数とその原因を比較することで実証可能であると考える。つまり、法改正により自動車メーカーの売上高に変化を与えたのか、仮に与えた(減少した)とすれば、そのことが原因で派遣切りが増加したかの因果関係も説明できると考える。

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  2. (1)「禁止区域に少し路上駐車をしただけで,すぐに違反として取り締まられてしまうので,自動車で出かける頻度が少なくなった人が多いはずである。」
    ⇒これが本当かどうかを検証する調査。具体的には、改正前後の車の売上高の他、全国各地の交通量調査を比較するなど?

    (2)「自動車の走行距離が少なくなれば,当然買い換えの時期に至るまでの期間も長くなる」
    ⇒これが本当かどうかを検証する調査(まあ本当かとは思いますが・・・けど、走行距離が少ないうちに売ったほうが高く売れますし・・・??)。具体的には、車を買い換える基準は使用年月か走行距離かを問うような意識調査??

    (3)「自動車をどこにでも駐車できるようになれば,自動車への需要が増えて,自動車産業が発展し,結果として景気回復に役立つのである。」
    ⇒これが本当かどうか。自動車がどこにでも駐車できるようになれば、渋滞や事故を誘発することになり、長距離移動者は電車や飛行機に移動手段を換えるインセンティブが働き、近距離移動者は徒歩や自転車に乗り換えるインセンティブが働きはしないか。。。
    具体的に示すには、、、
    駐車違反と渋滞や事故との相関関係。渋滞や事故による経済的損失額の算定(運転手自身の時間的コスト以外にも、二酸化炭素の発生による不経済などを算定)??「A地点からB地点まで渋滞時間がどれくらいだとあなたは他の交通手段に乗り換えますか??」といった意識調査。

    その他、駐車違反が原因で起きた死亡事故の悲惨な映像を国民に見せるなど・・・(トレードオフの説明)??

    上記調査等をした上で、ひとつでもA党の論理展開に間違いがあれば終了。仮に間違いが明らかだと示せなかった場合でも、(強引ですが・・・)派遣切りをしないで無理に雇うことによるデメリットを需要供給曲線により説明し、別の分野で働かせたり、正社員となるように教育の充実を図ることの重要性を説く。

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