家探しを手伝ってくれる不動産屋さんに対して,東京都では成約したときのみ家賃の1.05ヶ月を仲介手数料として支払うことが一般的だと思われます。しかしこのことに疑問を持ったことはないでしょうか。例えばネットで希望する物件を絞り込んだ上で一カ所だけ中を見せてもらい契約する場合と多くの物件を案内してもらう場合とでは不動産屋さんが負担する調査費用や案内にかかる経費が異なります。また例えば家賃が8万円の物件と16万円の物件では仲介手数料が倍になるわけですが,見せてもらう件数が同じならば経費はほぼ同じではないでしょうか。
このように考えると内覧する件数に関わらず1.05ヶ月分の仲介手数料が設定されていること,また様々なサービスを受けたとしても,その不動産屋さんを窓口として契約しない場合には費用がまったく発生しないことは理不尽に思えるのではないでしょうか。なぜ内覧した件数×単価+契約手続き費用といった報酬体系になっていないのでしょうか。この疑問に関連する以下の問いに答えなさい。
注,なお我が国では法律(宅地建物取引業法第四十六条第一項)と下のアドレスの告示により,不動産業者が賃貸物件を仲介する際に一方から得られる報酬の上限が賃料の一ヶ月分までとされています。以下の問題は,まずこのような法律が存在していないものとして,仲介業者が自由に仲介手数料を設定できる場合を想定して解答してみてください。その上で,法の経済分析に関心がある方は,なぜ法律が上限を定めているのか(また,なぜ上限だけを定めているのか),そして現在の規制の水準は適切か,さらにはそもそもこのような規制は必要か否かについても検討することをお勧めします。
(1) 仲介手数料が先述のように「内覧した件数×単価+契約手続き費用」となっていた場合にどのような問題が起こるでしょうか。仲介する不動産屋さんのインセンティブの観点から検討しなさい。
(2) なぜ仲介手数料が毎月の家賃の高低に関わりなく一律に1.05ヶ月分になっているのか,価格差別という用語を用いて説明しなさい。
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