現在,総選挙を前にして高速道路を無料化するべきかどうかについての議論が行われています。ここでは通行料金をどのように決めることが望ましいのかという問題を考えてみましょう。その際には,本質的な問題が分かりやすくなるように,以下のような簡単化した仮定の下で分析したいと思います。
まず一定の区間に注目したときに,実際には平日と休日では,また昼間と夜間とでも交通量が異なると思いますが,ここでは一日を通じて安定しているものと考えることにします。また道路の維持補修にかかる費用はゼロとします。そして,この区間が渋滞していないことを前提としたときの通行料金と利用希望者数の関係を調べたところ,下のグラフのように,0≦p≦aの範囲で,q=1−p/aという関係になっているとします。
このとき以下の問に答えなさい。
(1) 高速道路の車線数が十分に多く,希望者全員が利用したとしても混雑が発生しない場合を考えます。このとき,通行料金をいくらにすれば社会的余剰が最大になりますか。
(2) 次により現実的な問題を考えるために,一日の交通量が0.7を超えると渋滞が発生するとしましょう。そして渋滞が発生した場合には,個々の利用者の満足度が半分に低下するものとします(実際は渋滞の程度に応じて満足度が変わると思いますが,ここでは渋滞の有無だけを考えていることに注意してください)。このとき社会的余剰を最大にする通行料金はいくらでしょうか。また交通量が0.2を超えると混雑が発生するとしたら,社会的余剰を最大にする通行料金はいくらでしょうか。それぞれ答えなさい。